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大塚家具「久美子社長は残留」株主から評価されるか

エコノミスト編集部
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大塚家具の大塚久美子社長(右)とハイラインズの陳海波社長
大塚家具の大塚久美子社長(右)とハイラインズの陳海波社長

 経営再建中の大塚家具が決算期や監査法人の変更、新役員人事など新経営体制案を発表した。3月31日開催予定の株主総会を経て正式決定する。「親子ゲンカ」以降続く販売不振から抜け出すことができるか。週刊エコノミスト3月26日号よりお届けする。

提携先の意向で役員刷新

 3月11日に発表された新体制は、業務資本提携を結ぶ日中越境EC(電子商取引)のハイラインズ(東京都渋谷区)や業務提携先の中国の家具販売大手、居然之家(イージーホーム)との関係が色濃く反映された内容だ。役員人事では、現在の役員7人のうち久美子社長と義弟の佐野春生取締役は続投、残り5人を刷新する。2人は社内から昇格させ、3人は社外取締役とする。

 大塚家具によると、人事案はハイラインズとの協議の上まとめられた。ハイラインズの陳海波社長が社外取締役に入るほか、「業務改善の実績があるトヨタ自動車出身の人材を招きたいというハイラインズ側の意向」(大塚家具広報)をくみ、トヨタ自動車元理事の田中満雄氏が社外取締役候補に加わっている。

 監査等委員会設置会社から監査役会設置会社への移行も発表した。大塚家具は取締役会の監督機能強化と経営の意思決定迅速化を目的に2017年3月に監査役会設置会社から移行したばかり。わずか2年で元の体制に戻す理由について、「厳しい経営状況の中ではチェック機能が慎重になり、経営判断のスピードが落ちることがあったため」(同社広報)と説明している。

監査法人を変更

 あわせて監査法人をEY新日本監査法人から、昨年設立の開花監査法人(東京都新宿区)に変更する。新日本側から「監査工数(作業量)の増大」を理由に退任の申し出があったという。

「在庫一掃SALE」も(撮影は2018年10月)=東京都江東区の有明本社で、今村茜撮影
「在庫一掃SALE」も(撮影は2018年10月)=東京都江東区の有明本社で、今村茜撮影

 決算期も現在の12月から4月に変更する。今年度は19年1月から20年4月までの16カ月の変則決算となる。家具販売が最盛期を迎える3月、4月に株主総会の開催が重なるのを避けるため、決算期の変更を数年前から議論してきた。ただ、決算期を変えると前の期との業績の比較が難しくなる。「赤字隠し」との批判を招きかねないため見送られてきたが、新体制への移行を機に断行する格好だ。

 大塚家具は2月に外資資本を中心に最大約76億円を調達する計画を発表、資金面では一定のめどを付けたものの、18年12月期の決算では3期連続の最終赤字を計上した。企業の存続に疑義が生じていることを示す「継続企業の前提に関する注記」がついたままの状態だ。

 新体制では久美子社長の意向を反映しやすい布陣で脇を固めて再生を図る考えだが、「増資を含めて考えると、久美子社長の力が強まるというよりも、新しい資本の出し手の影響力が高まる可能性が高い」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)と市場の反応は厳しい。

中国進出で業績は回復するのか

 販路拡大を目指す中国への進出についても、商品展開や物流網の構築など具体性に乏しく、「不透明感が強すぎる」(財産ネットの藤本誠之企業調査部長)。

 そもそも、業績が落ち込む原因となった国内事業は立て直しの道筋が見えていない。19年2月の店舗売り上げは前年同月比3割減と大きく落ち込んでいる。3月4日の会見でも、国内店舗の再編について久美子社長は「試行錯誤」と述べるにとどめた。大塚家具の取引先は国内の家具メーカーや修理会社が多い。「経営をめぐって久美子社長と父、勝久氏の対立が表面化して以降、取引先は困惑し続けている」(元大塚家具社員)という。

 「親子ゲンカ」以降続く販売不振から抜け出すことができるか。3月末の株主総会で株主は久美子社長の新体制をどう評価するか。

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 この記事は、週刊エコノミスト3月26日号の記事をウェブ用に編集したものです。連載「週刊エコノミスト・トップストーリー」は原則、毎週水曜日に掲載します。

週刊エコノミスト3月26日号

 
 

エコノミスト編集部

藤枝克治編集長率いる経済分野を中心として取材、編集するチーム。経済だけでなく社会、外交も含め幅広く取材する記者の集団であり、各界の専門家にコラムや情報提供を依頼する編集者の集団でもある。