藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

ユジノサハリンスクの街に見た「ソビエト」の名残り

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ユジノサハリンスク市街東外れの丘のふもとにある勝利広場とギリシャ正教会(写真は筆者撮影)
ユジノサハリンスク市街東外れの丘のふもとにある勝利広場とギリシャ正教会(写真は筆者撮影)

 2018年6月末、日本政府が設置した「サハリン日本センター」主催のロシア人向け講座の講師として、サハリンの州都ユジノサハリンスクに出張した筆者。戦前に40年間日本領となっていながら、戦後半世紀は立ち入ることができなかったこの街の今はどうなっているのか? 厚い雲に覆われ、肌寒い霧雨の降る中、講義の合間に歩いて観察する。

 ロシア各地に6カ所設置された日本センターとは、「将来のロシア経済を担い、日露経済関係の分野で活躍することが期待される人材を発掘し育成するため、経営関連講座・日本語講座等様々な技術支援を行う」機関なのだという。1時間半の講義ないし実習を2日間で計8コマ、受講生(企業経営者、学者、起業家、学生など)の緊張を切らさないように受け持つというのは、実にエキサイティングな体験だったが、さすがの筆者もヘトヘトになった。

 そんなハードな仕事の途中の楽しみが、会場近くのカフェテリアタイプのレストランでの昼食だった。いろいろおいしそうなロシア家庭料理が並んでおり、好きな皿だけ選んで飲み物込みで600~700円。欧州のロシア人ならまずもって食べないであろう昆布の千切りの炒め物(沖縄料理の「クブイリチー」に類似)もある。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。