藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

サハリンで思う「北方領土問題」と「固有の領土」論法

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ユジノサハリンスク駅近くに野外展示されているデゴイチ蒸気機関車。日本統治時代の名残の一つ(写真は筆者撮影)
ユジノサハリンスク駅近くに野外展示されているデゴイチ蒸気機関車。日本統治時代の名残の一つ(写真は筆者撮影)

 すっかりロシア化したユジノサハリンスクにも、戦前の日本統治時代の痕跡はある。その一つが、駅前正面左側の公園に展示された“デゴイチ”(D51型蒸気機関車)だった。筆者が育った山口県徳山市(現周南市)の公園にも1台あって、小学校の帰りによくよじ登って遊んだものだ。しかしこちらの方に子どもの姿はなかった。

 そもそもサハリンの鉄道は日本が統治時代に南半分に建設し、戦後に北半分にも延長されたものなので、軌間(レールとレールの間の幅)は、日本と同じ1067ミリ(3フィート半)だ。これに対しロシアの鉄道は軌間1527ミリ(5フィート)と、欧米の標準である1435ミリ(4フィート10インチ)よりも広い。

 そこで、ロシア本土と鉄道連絡船を介しての貨物直送を行うべく、どちらの軌間の列車でも走れる3線軌道への改軌が北側から進められているという。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。