
サイバー攻撃でよく使われる手法の一つに、「標的型メール」がある。特定の政府機関や企業を狙い、相手が信頼を寄せている取引先などをかたってメールを送りつける。そして、添付ファイルを開かせることでウイルスに感染させ、機密情報を盗み取るのだ。
このサイバー攻撃の成否を大きく左右するものがある。メールの受け手が不信感を抱かずに思わず開きたくなるようなメールの本文と添付ファイルの件名だ。時事性と緊急性の高いテーマ、つまり、そのとき話題になっている災害や国際情勢に関するニュースが、標的型メールを使った攻撃に悪用されることが多い。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。