「自己保身社会」の現実

うわべは“いい人”裏に秘めた虚栄心と猜疑心

片田珠美・精神科医
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<事例編>

 “いい人”と思われたいという虚栄心が強い人は、うわべは“いい人”を装いながら、秘めた怒りや復讐(ふくしゅう)願望を「受動的攻撃」の形で出すことが多い。裏返せば、怒りや復讐願望を大っぴらに出せないからこそ、こういう陰湿な形で表現するのだともいえる。

 ある会社では、自分が聞いた上司への愚痴を多少膨らませて密告する20代の女性社員に同僚の多くが迷惑している。この女性社員は、猜疑心(さいぎしん)が強くて神経質な30代の女性課長にやんわりと密告する。

 たとえば、ランチの際に同僚が「課長はこちらの仕事量も考えずに仕事を振ってくる」と愚痴をこぼすと、こ…

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。