「自己保身社会」の現実

店員を土下座させた元会社員の心に「過去の屈辱」

片田珠美・精神科医
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<事例編>

 日本には「お客様は神様」という風潮がある。そのうえ、最近は消費者意識の高まりにともない顧客第一主義をうたう企業が増えており、「お客様」であれば誰でも丁重に扱ってもらえる。そこにつけ込んで、店員に怒りをぶつけたり、罰を与えたりする「お客様」がいるようだ。

 たとえば、2013年から14年にかけて、コンビニエンスストア、衣料品店、飲食店などで店員に土下座を強要する事件が各地で相次ぎ、逮捕者まで出たが、一連の事件は怒りと懲罰欲求の矛先を弱い立場の店員に向けた典型だろう。

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。