藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

30年で大変化した「ラスベガス」という特異な場所

藻谷浩介・地域エコノミスト
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歩行者でごった返す天蓋(てんがい)式アーケードは米国ではおそらく、このラスベガスのダウンタウンにしかない(写真は筆者撮影)
歩行者でごった返す天蓋(てんがい)式アーケードは米国ではおそらく、このラスベガスのダウンタウンにしかない(写真は筆者撮影)

 いわゆる「統合型リゾート」(IR=巨大なホテルを核に、モール、会議場、劇場、カジノなどを複合させた施設)の導入を、躍起になって進める日本政府。お手本はIRの本家・米国ネバダ州のラスベガス、その一番弟子のマカオ、二番弟子のシンガポールである。しかしIR登場以前にカジノ産業の中心だったラスベガスのダウンタウン(旧中心市街地)はモデルの中にはないようだ。知人の結婚式の際に見聞した、その旧来型カジノ集積の今。

 2018年4月。米国人の旧知の、赤ん坊のころから知っている娘さんが、めでたくラスベガスで結婚式を挙げるというので、夫婦で出向いた。筆者にとって5回目の訪問だったが、ダウンタウン(旧中心市街地)に宿泊したのは初めてである。米国の中では飛びぬけて異色な空間を歩きつつ、米国社会の特殊性を改めて感じる機会となった。

 日本でラスベガスという場合、それはさまざまに工夫を凝らした巨大ホテル(IR)が林立する「ストリップ地区」を指す。ストリップというのは「通り」のことだ。ダウンタウンから南へ、市域の外へ延びる大通りのことを単に「通り」と言っていたのだが、後々そちらがメインのカジノ地区に成長したのだ。ニューヨークのダウンタウンから北に延びる道をブロードウェー(広小路)と言っていたのが、後になって周囲が市街化し、やがて…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。