「自己保身社会」の現実

「ネバーギブアップ」高齢者が欲望をあきらめきれない

片田珠美・精神科医
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<事例編>

 シルバーモンスター、つまりモンスター化した高齢者が最近増えている。これは高齢化社会の現状を反映しており、次の三つの理由によると考えられる。

シルバーモンスターの増加

 まず、高齢者の数自体が増えている。17世紀のフランス貴族で文学者、ラ・ロシュフコーは「老人たるすべを心得ている人はめったにいない」と毒舌を吐いているが、まさにその通りで、わがままで周囲に迷惑をかける老人は、昔から一定の割合で存在していたはずだ。

 もっとも、昔は長生きする人がそんなにたくさんいたわけではないので、モンスター化する人も限られていた…

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。