藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「ラスベガス」21世紀の米国に残る“昭和感覚”の街

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ラスベガス・ダウンタウンの老舗カジノホテルのプール。アメリカらしからぬ混雑ぶりが逆に魅力なのか? (写真は筆者撮影)
ラスベガス・ダウンタウンの老舗カジノホテルのプール。アメリカらしからぬ混雑ぶりが逆に魅力なのか? (写真は筆者撮影)

 ラスベガス訪問5回目にして初めて訪れたダウンタウン(旧中心市街地)は、米国では他に見たことのない天蓋(てんがい)型アーケードのかかるフレモント通りを中心に、米国の普通の都市では失われてしまった市街地の雑踏それ自体を売り物にする観光地となっていた。ホテルで正装に着替え、知人の結婚式に出席する。

 広さも人出の具合も、アーケード街1本の中だけ人が歩いている日本の一部の地方都市の中心市街地とそっくりの、ラスベガスのダウンタウン。しかし日本にならどこにでもあるコンビニや、軽食の店はない。朝食抜きのまま昼食時間になっているのだが、正規のレストランに入って重いものを食べると、夕食時に何も口にできなくなりそうだ。ようやく老舗ホテルの中で、おつまみや飲み物をワゴンで売っていたのを見つけ、それで当座の空腹をしのぐ。

 結婚式は夕方5時からだと聞いていたが、米国人の新郎新婦の親族友人一同が泊まっている老舗ホテルの中をうろうろしていたら、さっそくに旧知の一家と出会った。新婦の母方で、祖父母や伯母一家も交えた8人である。いずれもワシントン州の田舎町在住だ。ラスベガスに来るには、シアトルの空港まで出て、そこから2時間半のフライトになる。信州から羽田に出て、沖縄に飛んできたという感覚だろうか。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。