
銀行の個人ローン戦略は整合性がとれているのか。今回は、各銀行が注力する個人ローン営業を借り手の側からみた場合に、どのような事態が生じているのかを取り上げてみたい。銀行は顧客本位といいながら、なかなかローン分野ではそれを具体化できないでいるように思える。
借り換えを勧めるチラシ
飲食業を営む女性の話から紹介したい。彼女は大企業に勤めていたが、10年前に退社した。夢だった飲食業の店を構えるためだ。そして、実現した。店は得意客を得て繁盛している。あるときから、東京都内の自宅マンションに大手銀行のダイレクトメールがひんぱんに送られてくるようになった。「いまの住宅ローンを低利ローンに借り換えましょう」という内容のチラシである。
そこで、チラシを持参して住宅ローンを借りている銀行を訪れた。「ローン借り換えセミナー」で話を聞いた後、相談窓口に行き「借り換えたいのですが」と担当者に話した。初めのうち、担当者はニコニコ顔だったが、彼女が大手企業を辞めて自営業に変わっていることを知ると、にわかに態度が変わった。「自営の人にはちょっとローン実行はむずかしいのですよ」という返事である。
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