藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「ジブラルタル海峡」欧州とアフリカが行き交った地

藻谷浩介・地域エコノミスト
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アフリカ大陸側から欧州を見たジブラルタル海峡。対岸にジブラルタルの岩山が遠望できる(写真は筆者撮影)
アフリカ大陸側から欧州を見たジブラルタル海峡。対岸にジブラルタルの岩山が遠望できる(写真は筆者撮影)

 ナポレオンは「ピレネー山脈の南(スペイン)はアフリカだ」と言ったという。確かに山脈の南のイベリア半島は、アフリカから北上した勢力に、歴史上繰り返し征服されてきた場所だ。半島とアフリカ大陸の間には、浅いところでも水深400メートル近いジブラルタル海峡があるのだが、幅は狭いところでは14キロで、晴れれば対岸は指呼の間だ。まったく違うものと思われがちな欧州とアフリカの、今なお歴史と領地が複雑に入り組む最近接点の実態とは。

 2017年5月。筆者は、スペインに残る世界遺産の城塞都市の一つ、ロンダの街頭で、タパス(おつまみ)とワインの夕食を取っていた。ここは標高740メートルの高原だが、ジブラルタル海峡までは南にあと100キロ少々。スペインの南端はすぐそこである。

 人口3万人台なのに活気のある街並みを行き交う群衆には、肌の色が浅黒い人も目立った。この街は、800年近くにもわたってアラブ人などアフリカから渡って来た勢力に支配されていた歴史を持つのだ。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。