職場のストレス・マネジメント術

迷惑先輩の「部下いじり」と「ハラスメント」は紙一重

舟木彩乃・心理カウンセラー
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 今回取り上げるのは、上司の“いじり”に悩む30代前半のメーカー勤務の男性、松田さん(仮名)です。

 松田さんは人事異動で企画室に来ました。その部署のリーダーは、偶然にも大学時代のサークルの先輩Aさんでした。再び一緒になった2人ですが、Aさんはそのことがうれしいようで、懐かしい昔話を松田さんによくしてきます。しかし、学生時代からAさんに苦手意識を感じていた松田さんは、気が重い毎日が続いているそうです。

 松田さんは、じっくりと物事を考える慎重な性格で、相手の言葉に対して少し間を置いて答えるようなタイプです。それに対してAさんは、軽い冗談で周りを笑わせ、飲み会では話の中心になるタイプです。冗談と言っても、“いじりやすい”人をターゲットにしてデリカシーのない言葉で周りを笑わせるという類いのもので、松田さんは学生時代よくターゲットにされていました。

 松田さんの気が重くなったのは、その“いじり”が職場でも再現されたためです。企画室は会議が多く、夕方の会議が長引くとメンバー全員でそのまま飲みに行くこともあります。松田さんが飲み会を断ると「飲み会にでも行かないと女の子と話す機会がないぞ」「頼むから酒の力を借りて普通に話しているところを見せてくれ」などと、皆の前で平気で言います。

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舟木彩乃

心理カウンセラー

 筑波大学大学院博士課程修了(ヒューマン・ケア科学博士)。カウンセラーとして8000人以上、コンサルタントとして100社を超える企業の相談に対応。一般企業の人事部などを経て、現在メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー企業)副社長。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなど保有。著書に「『首尾一貫感覚』で心を強くする」(小学館新書)。