「自己保身社会」の現実

“不遇”を他人のせいにして幸せになった人はいない

片田珠美・精神科医
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<処方箋編>

 かつては権威があると考えられていた組織や人物の威信が失墜し、われわれがよりどころにしていた価値観も揺らぎつつある。だからといって新たな権威や価値観が登場したわけではない。それでも古い権威や価値観にすがって生きていくのは無理だと誰もが薄々気づいているのではないか。

 その典型が学校だ。堀江貴文氏は「インターネットの登場によって、旧来型の国民国家が解体されつつある現在、もはや『国民』の養成機関としての学校には何の価値もない」と言っている。的を射た言葉だと思う。鋭敏な子どもほどこのことに気づいているからこそ、不登校の小中学生が急増し、2017年度には不登校児童生徒数が約14万4000人と過去最多を記録したのではないか。

 それでも、「不安定な時代だからこそ、子どもに学歴をつけさせなければ」と考える親が多いのか、わが子を…

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。