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「人形は顔がいのち」創業300年の老舗・吉徳大光

森岡浩・姓氏研究家
JR浅草橋駅構内に展示される吉徳の人形=2019年4月24日、田中学撮影
JR浅草橋駅構内に展示される吉徳の人形=2019年4月24日、田中学撮影

 五月人形やひな人形の老舗が吉徳である。吉徳の人形は、切れ長の美しい瞳と優しい表情が特徴で「顔がいのちのよーしーとーく~♪」というCMでも有名だ。現在は株式会社吉徳が正式名称である。かつては「吉野屋徳兵衛」といい、吉徳はこれを縮めたものだ。経営家の名字は「吉野」ではなく山田家である。また「吉徳大光(たいこう)」はブランド名だ。

 「茅町でしのぎを削る節句前」という川柳にも読まれたように、江戸時代後期には浅草茅町(現在のJR浅草橋駅付近)は五月人形の市がたっていた。この茅町一の老舗が吉徳である。

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姓氏研究家

1961年、高知県生まれ。早稲田大学在学中に独学で姓氏研究を始める。文献調査やフィールドワーク、統計を用いた実証的手法を用いる。2017年4月からNHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演。著書、多数。