藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

モロッコのスペイン領「セウタ」へ高速をすっ飛ばす

藻谷浩介・地域エコノミスト
  • 文字
  • 印刷
セウタの市街は陸繋島の砂州の上にある。向こうに見えるのはモロッコ(写真は筆者撮影)
セウタの市街は陸繋島の砂州の上にある。向こうに見えるのはモロッコ(写真は筆者撮影)

 何度も欧州列強に統治された歴史を持ちながら、60年前にモロッコ領に戻った100万都市タンジェ。そこから陸続きに70キロほど東のスぺイン領セウタの町へ向かうが、鉄道はもとより定期バスの運行もない。普通サイズのセダンに乗客5人を詰め込んだ乗り合いタクシーで、起伏の大きい高速道路をすっ飛ばす。

 タンジェの乗り合いタクシー乗り場を出た車は、しばらく行ったところでガソリンスタンドに寄った。日本であれば、客を乗せてからガソリンを入れるなどあり得ないが、途上国では普通である。だがそのおかげで筆者はようやくトイレに行くことができた。公衆トイレの少なさは、欧州及びその影響の大きい旧ソ連諸国やアフリカに共通する問題である。

 タンジェもセウタも海沿いの町だが、間には険しい山塊があって、幹線路は海沿いではなく標高200メートルほどの高原地帯を抜けていく。並行して、単線ながら新幹線のような高架軌道が走っている。同乗のスペイン人女性に聞くと、タンジェとタンジェ新港を結ぶ高速鉄道とのことだった。しかし、軌道は完成しているようだが未開業らしい。

この記事は有料記事です。

残り2947文字(全文3411文字)

藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。