4月9日に新紙幣のデザインが発表された。令和6(2024)年から1万円札のデザインは福沢諭吉から渋沢栄一に変更される。渋沢栄一といえば、日本の近代資本主義の父ともいわれる人物だ。本連載は、企業の創業家や経営一族にスポットをあてているが、今回は特別に渋沢栄一の出た渋沢家について見てみたい。
ルーツは甲斐国
江戸時代、渋沢家は武蔵国榛沢郡血洗島(埼玉県深谷市)の豪農だった。「血洗島」という物騒な地名は、平安時代後期の後三年の役で東北に向かう源義家の家臣が片腕を切り落とされ、その血を洗ったことに由来するともいわれる(諸説ある)。
渋沢家のルーツは甲斐国巨摩郡渋沢村(山梨県北杜市)である。地名を取って渋沢と名乗り、甲斐に土着した清和源氏の流れをくむ甲斐源氏の一族といわれるがはっきりしない。戦国時代の天正年間(1573~92年)に、一族のうち「遠西の家(とおにしんち)」と「遠前の家(とおまえんち)」の2家が血洗島で帰農した。
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