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チキンレース「米中貿易摩擦」の日米経済への影響度

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
 
 

 米国のトランプ政権は5月13日、中国への制裁関税第4弾として、iPhoneなども含む約3000億ドル(約33兆円)の中国製品に最大25%の関税を課すことを発表した。発動は6月末以降になるとみられるが、実際に課された場合は、日米経済への打撃が大きい。

107円台の円高もある?

 トランプ大統領は中国をたたいているつもりだが、たたかれている企業には中国で生産している日本企業、米国企業も多い。関税の引き上げは製造コストを高め、企業収益を押し下げる。

 これを見越して、すでに株価は下落している。収益悪化と株価下落によって米長期金利も低下すると、ドル・円レートは円高に振れる。2019年初頭の1ドル=107円台まで円高が進むという見方もある。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。