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トランプ氏の捜査妨害指示に政府高官“不服従”の矜持

古本陽荘・毎日新聞北米総局長
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トランプ米大統領=2018年8月30日、高本耕太撮影
トランプ米大統領=2018年8月30日、高本耕太撮影

 全知全能の人間がいない以上、権力を持つ為政者をどうやって監視するか。そのために権力を分散させる仕組みが考えられてきた。

 トランプ大統領はビジネスマン出身であり、政治家としての経験も政府高官を務めた経験もなく大統領に就任した。そのこと自体は必ずしも悪いことではない。だが、大統領の権限や憲法についての知識があまりに欠けていることについては、その弊害という面が否定できない。

 2016年米大統領選にロシアがどこまで介入し、トランプ大統領の陣営がそれを手助けしていたかを捜査してきたモラー特別検察官が捜査の結果をまとめた報告書が4月18日に公表された。すでに報じられている通り、ロシアとトランプ陣営が共謀した証拠はなかったと結論付けた一方、トランプ氏が捜査を妨害しようとした行為については「犯罪行為があったと認定しないが、罪を犯していないとも認めない」と判断を留保した。

 一般的な意味で、トランプ氏が捜査をやめさせようとしたのは明白だ。最初は連邦捜査局(FBI)のコミー長官の首を切り、その後、疑惑の捜査を任されたモラー氏の捜査を止めようとした証拠も残っている。もし、捜査が中止に追い込まれていたら、妨害行為を立証するのはもっと容易だっただろう。だが、捜査は続いた。ロシアとの共謀がないのに、捜査妨害だけ熱心にやったというのもおかしな話で、法律上の犯罪の構成要件を満たす…

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古本陽荘

毎日新聞北米総局長

1969年生まれ。上智大文学部英文科卒、米カンザス大大学院政治学修士課程修了。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)。