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東証上場基準漏えい?近づく「野村処分」のXデー

浪川攻・金融ジャーナリスト
東京証券取引所がある日本取引所グループのビル
東京証券取引所がある日本取引所グループのビル

 東京証券取引所が運営する四つの株式市場の構成見直しの議論が再開された。金融庁は5月17日、金融審議会の下に「市場構造専門グループ」を設置し、審議を開始した。これに合わせて、議論の過程で取り沙汰されてきた野村証券の情報流出問題への対応が注目されている。

 東証1部、2部、新興市場のマザーズ、中小型株中心のジャスダックの4市場の構成を見直す必要性があることは以前から指摘されていた。現在、1部2141社、2部492社、マザーズ286社、ジャスダック715社が上場している。全体の6割近くが1部上場だ。「東証1部上場」というブランドに多くの企業が集まっているが、なかには業績が低迷していたり、企業の実力が明らかに劣っていたりする企業がまじり、ひずみが生じている。

 東証は内部に検討委員会を設置して、見直しに向けた議論を重ねていた。その最中に情報漏えいが起きた。委員の一人である野村グループの企業の関係者が、検討会の議論の中に出てきた上場基準見直しの情報をグループ内で漏らし、さらにそこから外部の投資家に情報が拡散したのである。

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金融ジャーナリスト

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。