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「トランプ関税発動」でも日本経済は堅調か?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
 
 

 日本の景気は1~3月期の国内総生産(GDP)がプラスになったものの、米トランプ大統領によって揺さぶられている。米中貿易戦争によって、米国政府は、第4弾の報復関税として約3000億ドル(約33兆円)への最大25%の課税を準備し始めた。

制裁関税でスマホの価格は上がるか

 この第4弾は、iPhoneなどスマートフォンとパソコンが含まれているところが打撃が大きい。中国製のスマホに高関税をかけると、それを負担するのは、米国の消費者ということになる。スマホの値段が高くなることで売れ行きが悪化し、その製造を中国で行っている米企業の販売が減少する。つまり、制裁関税の打撃は米企業に及ぶ。

 さらに、中国でスマホを製造するときの部品は日本から輸出されたものも多い。スマホ部品は利益率も高く、日米企業へのダメージは大きなものとなるのだ。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。