ベストセラーを歩く

“日本国の象徴”の意味を解き明かす「平成の天皇」論

重里徹也・文芸評論家、聖徳大教授
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皇居外での最後の公務となった「第13回みどりの式典」への出席を終え、拍手の中、会場を出られる天皇、皇后両陛下(当時)=2019年4月26日、代表撮影
皇居外での最後の公務となった「第13回みどりの式典」への出席を終え、拍手の中、会場を出られる天皇、皇后両陛下(当時)=2019年4月26日、代表撮影

 新聞の優れた政治記事や政治コラムは、読み物としても実に面白い。広義の文学のテーマとして、いつの時代も変わらない魅力があるのは、政治と恋愛である。権力と欲と理想と人情をめぐる人間模様である。中央政治の人間模様とは、あるいは外交をめぐる駆け引きとは、それが凝縮して表れるドラマのはずだ。

 「時の在りか」は私が毎回楽しみにしている毎日新聞のコラム(毎月第1土曜日掲載)だ。そこではベテランの政治記者が長年の蓄積を背景にして、懐深く現代の政治を論じている。筆者は編集委員兼論説委員の伊藤智永。その伊藤がこの30年の日本のあり方を論じた「『平成の天皇』論」(講談社現代新書)を早速読んだ。学ぶことが多かった。

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重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。