
香港で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」(注)に反対する大規模デモが続いている。デモ参加者が利用している暗号化されたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に、中国からとみられる大がかりなサイバー攻撃が仕掛けられたと米国や英国のメディアが報じている。
大規模デモは6月9日に始まった。主催者はこの日、香港市民103万人が参加したと見ている。香港の居住者は750万人だ。条例改正で、中国を批判する民主活動家だけでなく、香港を訪問中の外国人観光客やビジネスマンも中国に引き渡される恐れがある。市民から強い反発の声があがった。
香港政府は15日、条例改正の無期限延期を発表した。それまでの間、警察はデモ参加者にゴム弾や催涙弾を発射し、警棒、放水も使うなど激しい鎮圧活動を行い、多くのけが人が出た。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。