人生に必要な「おカネの設計」

60歳定年男性に銀行が薦めた「ファンドラップ」の中身

岩城みずほ・ファイナンシャルプランナー
  • 文字
  • 印刷
 
 

 大手企業を定年退職したA郎さん(60)は銀行口座に退職金が振り込まれると、すぐに銀行から連絡があり「ファンドラップ」の購入を薦められました。ファンドラップは、金融機関が顧客の目標とする利回りやリスク許容度を聞き取った上で資産配分や商品選択を行い、主に投資信託で運用するサービスです。

 もともと老後資金を運用で増やしたいと思っていましたが、これまで投資経験がなく、銀行に任せるのも一案と考えました。しかし妻から「他の人の意見も聞いたほうがよいのでは?」と言われ、私のところに相談に来ました。今回は金融機関から薦められるファンドラップについて考えてみます。

 ファンドラップは金融機関が提供する運用サービスの対価として、投資を一任することでかかる費用や成功報酬が資産残高に対して年数%差し引かれます。これ以外に、顧客はファンドラップで運用する投資信託の信託報酬を毎日支払います。そのため、資産残高に対して合計で年2.2~3%の運用コストがかかります。購入時に3%程度の販売手数料もあります。まずこうした多くの手数料が必要な商品であることを理解しておく必要があります。

 こうした商品は、ファンドラップだけに限りません。金融庁は2016年に公表した「金融リポート」で、実質的な手数料の高さなどから問題がある商品として、毎月分配型など頻繁に分配金がある投資信託▽ラップ運用(ファンドラップ)▽貯蓄性の保険商品(主に外貨建て)──の三つの商品をあげています。

この記事は有料記事です。

残り1243文字(全文1866文字)

岩城みずほ

ファイナンシャルプランナー

CFP認定者、オフィスべネフィット代表、NPO法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、中立的な立場で顧客の利益を最大限にするコンサルティングを実践し、講演や執筆活動も行っている。著書に「人生にお金はいくら必要か」(共著、東洋経済新報社)、「やってはいけない!老後の資産運用」(ビジネス社)などがある。