
6月13日、ワシントンで日米貿易交渉の閣僚級協議を終えた茂木敏充経済再生担当相が、記者会見で「参院選後に早期に成果を上げたいことでは一致している」と述べました。非常に嫌な感じがする発言でした。本来は貿易交渉と無関係なはずの「参院選」という言葉が、公の場であからさまに使われたからです。
「互いの選挙のため」日米の思惑が一致
日米貿易交渉は現在、米国が農産物での先行合意を望み、日本は自動車など工業品も含めた物品全体での決着を主張していると伝えられます。今回の閣僚協議で溝は埋まらなかったものの、早期合意を目指す点では一致したということのようです。
日米両政府が「参院選後の早期に合意」という思惑で一致していること自体は、驚くに当たりません。
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位川一郎
毎日新聞紙面審査委員
1957年広島県生まれ。東京大経卒。81年埼玉新聞社入社。88年毎日新聞社入社。水戸支局、経済部、総合メディア事業局、地方部などを経て、2004~10年経済部編集委員。国土交通省、農水省、総務省などを担当し、ライブドア騒動、米国産牛肉の輸入再開、公共事業問題などを取材。13年から現職。