
大阪市で6月28、29日に主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催される。2008年のリーマン・ショックを受け世界が直面した大不況に対処するため生まれたG20サミットはその後、大きく変容し、米中対立のはざまで機能低下も指摘される。政策当局者としてG20に関わってきた浅川雅嗣財務官が訴えるのは、次なる危機に備え「G20がいつでも政策協調できる体制」を維持する重要性だ。
G20サミットが初めて開催されたのは08年11月、米首都ワシントン。2カ月前にリーマン・ブラザーズが破綻したショックは、世界を空前の大不況へと引きずり込もうとしていた。通常の景気後退と異なり、世界の金融センターである米国発の金融危機は、世界的な株価暴落や金融市場のマヒを通じ、事業が健全な金融機関や企業までも破綻の連鎖に巻き込む恐れがあった。1930年代の世界恐慌の再来さえ懸念され、事態は切迫して…
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清水憲司
毎日新聞経済部副部長(前ワシントン特派員)
1975年、宮城県生まれ。高校時代まで長野県で過ごし、東京大学文学部を卒業後、99年毎日新聞社に入社。前橋支局を経て、東京経済部で流通・商社、金融庁、財務省、日銀、エネルギー・東京電力などを担当した。2014~18年には北米総局(ワシントン)で、米国経済や企業動向のほか、通商問題などオバマ、トランプ両政権の経済政策を取材した。
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