嫉妬をとめられない人

浮気している夫が妻の不倫を疑う「投影された嫉妬」

片田珠美・精神科医
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 精神分析の創始者であるフロイトは、嫉妬には「競争心による正常な嫉妬」のほか、「投影された嫉妬」や「妄想的な嫉妬」という層もあると指摘している(井村恒郎訳「フロイト著作集第六巻」人文書院)。

 「競争心による正常な嫉妬」は、誰もが持つ嫉妬のことである。では「投影された嫉妬」や「妄想的な嫉妬」とはどういうものだろうか。

 「投影された嫉妬」というのは、たとえば結婚している夫婦の片方に浮気願望があったとき、自らの浮気願望という「悪」を相手に投影し、それを激しく責めることによって、自分自身にはそんなやましい欲望がないかのようなふりをすることをいう。

 結婚していても他の異性に魅力を感じることはあるが、浮気願望のある人は、その不誠実さを隠し、自己弁護しようとして嫉妬する。自分が相手に対して不誠実であることを隠すために、不誠実なのは相手だと告発することで、自己弁護するわけだ。

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。