
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6月中旬に麻生太郎財務相に答申した財政運営に関する建議(意見書)で、原案に明記されていた「将来の年金給付水準が想定より低くなることが見込まれる」「自助努力を促していく観点も重要」の文言が削除されていた。参院選を控え年金問題に神経をとがらせる安倍政権への、過度な配慮が透けて見える。
ポピュリズム(大衆迎合主義)に距離を置き、政治や国民に耳が痛い話でも大所高所から提言するのが財政審の役割であり、それを事務方として支えるのが財務省の責務ではなかったか。「官邸1強」における政と官のあり方に、改めて危機を覚える。
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大久保渉
1979年、ブラジル生まれ。2004年、京都大学総合人間学部卒、毎日新聞社入社。山形支局を経て09年から東京本社経済部。自動車などの民間企業、日銀、金融庁、証券業界、経済産業省、財務省を担当。15年から2年間は政治部で自民党などを担当した。22年4月からワシントン特派員。
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