
米国の自治体が最近、立て続けに身代金要求型ウイルスの被害にあっている。「ランサムウエア」と呼ばれる攻撃だ。今年1月から5月までに20以上の自治体がウイルスに感染した。フロリダ州だけでも、複数の都市が5月から6月に攻撃を受けている。犯人は不明だ。
フロリダで最初に被害にあったのは、州南部の人口3万5000人の都市リビエラビーチだった。5月29日、市役所の職員が送られてきたメールに付いていたリンクをクリックし、市役所のITシステムがウイルスに感染した。
その結果、メールや一部の電話が使えなくなった。火事・犯罪・救急などの緊急通報用の911番に市民が電話をかけた際に、コンピューターで場所や被害などの記録を取れなくなった。オンラインで水道料金を払うこともできなくなった。警察は交通違反をコンピューターで記録できなくなり、慌てて棚から古びた紙の切符を探し出すはめになったという。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。