
遺言書で財産の受け取りを指定する場合には、いろいろなケースがある。長年寄り添った配偶者や、面倒を見てくれた特定の子に全財産を相続する▽相続人ではない人に遺贈する▽公益法人に寄付する――など。だが、どんな場合でも、それによって家族が争うことがないよう心がけたい。
同居した長男へ「感謝の念」
2017年10月、Aさんが亡くなった。Aさんは生前「長男に全財産を相続させる」という内容の公正証書遺言を作成していた。
Aさんの主な財産は自宅の土地・建物で、あとは多少の預金があるだけだった。相続人は、長女、長男、次女の3人。長男家族はAさんと長年同居していた。一方、長女と次女はすでに嫁いでおり、生活に困らないほどの十分な資産を持つ家庭を築いている。
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広田龍介
税理士
1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。