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金融庁報告書が言いたかった「大認知症時代に備えよ」

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

金融庁「2000万円不足」報告書の読み方(5)

 金融庁・金融審議会の報告書は「高齢社会の金融サービス」のあり方を提言したものだが、「2000万円不足」が注目された結果、肝心の論点が見えにくくなった。報告書は何が言いたかったのだろうか。

認知症「5人に1人」に

 高齢化が進む日本では、それに見合う資産運用・管理や金融のあり方が求められる。「老後」が長期化すれば、老後資産の目減りを抑え、高齢者の判断能力に見合う商品提供が必要となるためだ。こうした問題意識から金融庁は2018年7月に「中間とりまとめ」を作成。金融審・市場ワーキンググループがそれを受け継ぎ、提言としてまとめたのが今回の報告書だ。

 柱の一つは大認知症時代への対応だ。厚生労働省の推計では、65歳以上の認知症の人は12年時点で約462万人と「7人に1人」。それが25年には約700万人と「5人に1人」に高まる。

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。