
Aさんの父Bさんは土地を借り、その上に建物を建てていたが、地主のYさんから「土地の所有権(底地)を買い取ってもらえないか」と打診を受けた。あいにくBさんには資金がなく、Aさんが代わりに底地を買った。1998年5月のことだ。地主がAさんに代わったわけだが、Bさんから地代を取ることはなかった。
「贈与税回避」申し出書を提出
このように、親が借りている土地の底地を子が買い取り、地代のやりとりもない場合、親が所有する借地権については「親から子への贈与があった」とみなされる。つまり、Aさんには借地権ぶんの贈与税が課せられることになる。
ただし「借地権者の地位に変更がない旨の申し出書」を税務署に提出すれば「借地権は消滅しておらず、贈与とみなさない」とする規定がある。AさんとBさんは翌99年3月、連名でこの申し出書を提出した。
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広田龍介
税理士
1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。