
上場企業にとって、投資家へのアピールであるIR活動は欠かせない。IRはインベスター・リレーションズの略で、「投資家に向けた情報発信」といった意味だ。とくにグローバル企業は、海外投資家に自社をどう理解し、評価してもらえるかで株価が大きく左右される。そのIR活動の分野で、いま微妙な変化が起きている。
ある有力な外資系投資銀行の日本法人は最近、IR活動を支援する「コーポレートアクセス部門」を大幅に縮小した。この部門は日本の上場企業の経営者を、欧米の機関投資家に引き合わせるのが主要な業務だった。
この部門を縮小した理由は、投資銀行を仲介役とするIRミーティングに、海外の機関投資家が消極的になったからだ。なかでも、欧州の機関投資家にその傾向が顕著となっている。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。