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自分の預金が下ろせない?じわり広がる“高齢者制限”

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

金融庁「2000万円不足」報告書の読み方(6)

 金融機関が高齢者の取引を見直す動きが急速に進んでいる。特殊詐欺の防止などから、一定年齢になると、預金の引き出しを制限したり、使途の詳しい説明を求めたりするケースが増えている。早ければ60代から「自分のお金が自由に使えない」状況も生まれている。

「70歳以上」個人として認めない?

 「契約には代理人も同伴ください」。「ひとりの生き方」をテーマとするノンフィクション作家の松原惇子さん(72)は、銀行で貸金庫利用を申し込んだところ、行員からこう対応された経験を5月、ネットメディアでつづった。「銀行は70歳以上は個人として認めないのか」と問題提起した。

 金融機関では、一定年齢以上の顧客を対象に一律の対応ルールを設けるところが増えている。目安は「70歳以上」。ほとんどの場合、ルールは公表していないが、ある大手銀行は「支店にもよるが、70歳以上の契約には代理人同伴が原則」という。

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。