ベストセラーを歩く

朝倉かすみ「平場の月」50代男女のはかない恋愛小説

重里徹也・文芸評論家、聖徳大教授
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「平場の月」で山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみさん=2019年5月15日、山下浩一撮影
「平場の月」で山本周五郎賞を受賞した朝倉かすみさん=2019年5月15日、山下浩一撮影

 50歳になったころからだろうか。あと何年生きられるのだろうと考えるようになった。急に中学や高校の同窓会の誘いが増えた。みんな自分の人生がどんなものだったのか、ある程度、見えてきたような気がし、急に10代のころが懐かしくなったり、残りの人生をなんとか充実させたいと思ったりするのだろう。

 情報交換もしたいし、本音の会話も楽しみたい。死んでいくやつだって、出てくる。がんとか、心臓病とか、交通事故とか。

 若くはないけれど、まだ、老け込むには少し早い。何かをするには遅い気がするけれど、生きがいのようなも…

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重里徹也

文芸評論家、聖徳大教授

1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。