サイバー攻撃の脅威

AIで本物そっくりの偽動画が簡単に作成できる懸念

松原実穂子・NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
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※掲載写真はイメージです。本文とは関係ありません。 
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 人工知能(AI)への注目度が日増しに高まっている。AIが世界経済に与える波及効果は2030年までに13兆ドル(1405兆円)に及ぶと、国際コンサルティング企業のマッキンゼーは昨年時点で予測した。世界の国内総生産(GDP)を毎年1.2%押し上げる効果が見込まれるという。

 だが、AIがもたらす技術革新や経済効果に関心が寄せられる半面、悪用への懸念も増している。その好例が、19年6月にオンラインに投稿された米フェイスブックの最高経営責任者(CEO)、マーク・ザッカーバーグ氏の偽動画である。

 同氏がビッグデータについて語っているように見える動画は、実はAIで作られた偽物だった。ザッカーバーグ氏が米フェイスブック本社で行った演説の動画をもとに、顔をコンピューターで作成し、俳優の声を組み合わせて作成された。本物そっくりの偽動画をAIで簡単に作ることができるのだ。来年の米大統領選挙での悪用も心配されている。

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松原実穂子

NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト

早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。