
日本銀行の黒田東彦総裁は、7月30日の金融政策決定会合の記者会見で、「景気の勢いが損なわれる恐れが高まる場合には、ちゅうちょなく追加緩和する」と述べた。7月の金融政策決定会合では、この発言を公表資料に書き込んで「金融緩和を一歩進めた」としている。
この発言を聞いたとき、筆者は「まるで“サラミ戦術”ではないか」と思った。サラミ戦術とは、サラミを薄く輪切りにするように、小出しに策を打っていく「時間稼ぎ作戦」だ。ハンガリーの政治家が交渉を有利に運ぶために用いたことに由来する。その戦術が今回成功したかどうかはまだ誰もわからないが、日銀はなぜそんなことをしているかという苦しい胸の内を解説してみよう。
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