メディア万華鏡

芸術かヘイトか?「表現の不自由展」もメディアの分断

山田道子・元サンデー毎日編集長
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中止になった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に展示されていた「平和の少女像」(右)などの作品=名古屋市東区の愛知芸術文化センターで2019年7月31日、大西岳彦撮影
中止になった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に展示されていた「平和の少女像」(右)などの作品=名古屋市東区の愛知芸術文化センターで2019年7月31日、大西岳彦撮影

 映画「新聞記者」評同様、“分断”が気になっていた。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、元従軍慰安婦を題材とする「平和の少女像」などを展示した企画展「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれた問題。毎日、朝日、東京新聞は「表現の自由の問題だ」と大きく多角的に伝えた。日経新聞は「公的な資金が入った芸術祭でも、国や行政の意見を表明するために存在するわけではない」などとする識者談話を加えた記事「表現の自由巡り波紋」を8月6日朝刊に載せた。一方、読売、産経新聞は事実関係を淡々と報じた。

 毎日新聞と朝日新聞は8月6日朝刊の社説でも取り上げた。朝日新聞の社説は、菅義偉官房長官や柴山昌彦文部科学相の発言に共通する「公的施設を使い、公金を受け取るのであれば、行政の意に沿わぬ表現をするべきではない」という発想は「明らかな間違い」と指摘。毎日新聞の社説は「暴力によって中止に追い込もうとした側が、政治家の発言を受けて勢いづいた可能性がある」と書いた。

 東京新聞は8月7日朝刊社説で「国の内外を問わず、政治家による排他的な発言が『お墨付き』となり、ヘイト犯罪など昨今の極端な言動の下地になっているとすれば、憂慮すべき事態だ」との見方を示した。

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山田道子

元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。