
「自由貿易の番人」といわれる世界貿易機関(WTO)で日韓両政府が激しく対立した。韓国に対する日本の半導体材料の輸出規制が議題となり、韓国はWTOへの提訴も示唆。だが、WTOの紛争処理機関は米国の抵抗で機能不全に陥っており、泥沼化する日韓関係を修復する道筋は見えていない。
「日本の輸出規制措置はWTOのルールに明確に違反する」。7月24日、スイスのジュネーブで開かれたWTO一般理事会。韓国の金勝鎬(キム・スンホ)新通商秩序戦略室長は全加盟国の代表者を前に、こう訴えた。
金氏は韓国産業通商資源省のエースといわれる通商政策通。韓国による福島など8県産の水産物輸入禁止措置を巡り、今年4月にWTOで日本が「逆転敗訴」した際も、韓国側でこの問題を担当した人物。想定外の逆転敗訴を喫した日本にとっては因縁の相手となる。
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三沢耕平
毎日新聞経済部編集委員(前ロンドン特派員)
1972年千葉県生まれ。明治大学法学部卒。98年毎日新聞社入社。松本、甲府支局を経て、2004年から経済部で財務省、日銀、財界などを取材。政治部にも在籍し、首相官邸、自民党などを担当した。16年10月から欧州総局特派員。19年10月から経済部編集委員。