藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

「モルドバ日帰り旅」欧州最貧国のカオスな巨大市場

藻谷浩介・地域エコノミスト
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キシニョフの中央市場入り口。新奇なデザインだが中は途上国そのものの空間(写真は筆者撮影)
キシニョフの中央市場入り口。新奇なデザインだが中は途上国そのものの空間(写真は筆者撮影)

 モルドバ。旧ソ連を構成した15の共和国のうち、最もマイナーな存在だった、旧モルダビア共和国の後継国家。元々はルーマニア人が建てた3侯国の一つ・モルダビア侯国の東北半分だが、19世紀初頭の露土戦争の結果、当時の宗主国のトルコからロシアに割譲されてその直接支配に組み込まれ、同族のルーマニアとは異なる道を歩むことになった。ウクライナと並ぶ欧州最貧国の姿とは?

 2014年8月。ルーマニアの首都ブカレストの空港横のホテルに連泊した筆者は、中日にモルドバの首都キシニョフ(ネットなどでの表記も、現地発音も「キシナウ」だが、以下では外務省の表記に従ってロシア語発音の「キシニョフ」を使う)行きの便に搭乗した。日本ではほとんど情報の流れないこの小国を探検すべく、極力身軽ないでたちで、日帰りを試みたのである。小型機が1日2~4本飛んでおり、所要時間は1時間少々で、料金は往復で3万円だった。

 到着したキシニョフ国際空港は、いまどき珍しい旧式の造りで、ボーディングブリッジもなかった。当国は欧州連合(EU)に加盟を希望していながら入れてもらっていないのだが、同じ立場のウクライナ同様、日本人はビザなしで入国できる。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。