
中小企業は国内企業の99.7%を占め、日本のものづくりの技術力を支えている。パソコンやウェブサイトを活用した情報発信のほか、会計や調達関連のITツールの導入による生産性向上に取り組んでいる中小企業も多い。だが、中小企業のサイバーセキュリティー対策は遅れていると言わざるをえない。
大阪商工会議所が2017年3~6月に、会員の中小企業などを対象にアンケートしたところ、セキュリティーに関して専任の担当者を置いているのはわずか4%で、担当者を決めていない会社が50%に達した。
年間のセキュリティー予算が50万円以下という回答が8割。「セキュリティー対策が十分でない」と自覚する企業は68%にのぼり、「経費がかけられない」、「専門的人材がいないのでわからない」がその理由としてあげられた。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。