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「株価は9月に反転?」リスクは香港と米消費・雇用

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
株価は中央銀行の政策に大きな影響を受ける(8月19日、ニューヨーク株式市場)=AP
株価は中央銀行の政策に大きな影響を受ける(8月19日、ニューヨーク株式市場)=AP

 トランプ米大統領の対中政策はうまく運んでいないと思う。制裁関税第4弾を発動したかと思えば、クリスマス商戦への悪影響を考えて、その一部を12月15日の実施に遅らせた。9月に予定されるワシントンでの協議も成果が期待できそうになければ中止すると脅しにかかっている。

 これらは、トランプ大統領の焦りが表面化したものであろう。ことがうまく運んでいないからこそ、強権発動によって中国との交渉を有利にしたいという思惑が働く。

 一方の中国は5月以降、米国の圧力には屈しない方針に変わったとみられる。対話には応じるが、過大な要求にはもはや応じないという姿勢を貫くつもりなのだろう。制裁強化による中国の景気悪化は我慢すると腹をくくった。

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第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。