
香港の大規模デモをめぐる情勢が緊迫の一途をたどっている。その一方で、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を悪用したデモに関する偽情報や印象操作と、それを阻止する動きが激しくぶつかっている。
8月19日、米オンラインニュースサイトの「バズフィード」は、中国政府系メディアが香港デモを中傷する広告をツイッターとフェイスブックに出していると報じた。新華社通信や英字新聞・チャイナデーリーなどがツイッターに50件近くの広告を出し、フェイスブックにも新華社通信と国際テレビ局・中国環球電視網が広告を出していたという。
例えば、8月17日にツイッター上で「民衆の敵」と題した風刺画付きの「広告ツイート」が表示された。天秤が描かれ、片方には火炎瓶を握りしめ、背後に米国の国旗をなびかせたデモ参加者がいて何かわめいている。もう片方には、デモ参加者を冷たい目で眺め、侮蔑的なしぐさをしている中国市民や香港市民が描かれ、天秤は彼らに大きく傾いている。
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松原実穂子
NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。