嫉妬をとめられない人

「人の何倍も努力しています」は余計な嫉妬を買う

片田珠美・精神科医
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 人は誰しも「認められたい」という承認欲求を持っている。とくに成果主義の組織では自分から実績を示さなければ、上司に都合よく手柄を取られてしまうかもしれない。プライドを持って自分の仕事に臨んでいる人にしてみれば、「職場で認められること」は大事なモチベーションにもつながる。

 だから、自慢話をしないほうがいい、とは決して言えないのだが、嫉妬の実害をできるだけ避けるためには、伝え方を工夫する必要がある。

 文芸評論家、谷沢永一氏の「嫉妬する人、される人」(幻冬舎文庫)によれば、織田信長に仕えていたとき、豊臣秀吉は他の武将たちから嫉妬されそうになったが、うまくかわしたという。秀吉はどうしたのかといえば、まず絶対に自分から手柄を誇らなかった。「実績は示すけれど、言い立てない」というのが秀吉のスタイルである。

 誰かに自分の実績を問われたときは、大げさにアピールすることを避け、ありのままの事実を淡々と穏やかに述べるといいだろう。自分が成功した話だけでなく、失敗した話を交えるのも効果的だ。苦労した点や工夫した点も含めて、相手に少しでも有益な情報を渡すなど、聞いている相手を不快にしないような工夫が大事である。

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。