藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

現金もガソリンも入手不能「ジンバブエ」経済回らず?

藻谷浩介・地域エコノミスト
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ハラレ郊外の観光名所「バランス岩群」と筆者(写真は筆者撮影)
ハラレ郊外の観光名所「バランス岩群」と筆者(写真は筆者撮影)

 深く考えずに訪れた、アフリカ南部・ジンバブエの首都ハラレ。今世紀になって空前のインフレを経験した国なのだが、聞いていたとおり治安は悪くなく、住民も人懐っこい人が多かった。しかし、現金自動受払機(ATM)から現金が出ない、ガソリンスタンドに徹夜で長蛇の車列が並んでいるなど、どうも経済の根幹に問題が生じているようだ。

 筆者の最大の訪問動機は、世界遺産のグレート・ジンバブエ遺跡を見ることだった。現在でもこの国の多数派を占めるショナ族が9~15世紀に建造した石造りの王宮の遺跡だ。ハラレから300キロ南方と遠いので、あらかじめネットで日帰り2万円少々の現地ツアーを見つけて申し込んでおいたのだが、到着の数日前になって「車の問題で実施できなくなりました」とのメールがきて、お金も全額返金されてきた。ではどうやってたどり着くか。

 話はハラレ空港到着時に戻る。ツアーが中止になったので、空港から乗ったタクシーの若い運転手に筆者は「明日、グレート・ジンバブエ遺跡まで日帰りで連れて行ってくれないか」と持ち掛けた。しかるにATMで現金を引き出せなかったため、筆者の手持ちの50米ドルでは、相応の金額は払えない。ホテルのフロントでも、クレジットカードから現金を引き出すことは断られた。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外109カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。