藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

シンガポールの世界遺産「植物園」真夜中に走れる魅力

藻谷浩介・地域エコノミスト
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シンガポール植物園。奥に見えるのは水上ステージ(写真は筆者撮影)
シンガポール植物園。奥に見えるのは水上ステージ(写真は筆者撮影)

 赤道直下、面積でいえば東京23区よりやや広い島に、560万人(居住外国人含む)が暮らす都市国家・シンガポール。超高層ビルが林立するようなイメージがあるが、人口が東京23区より400万人程度少ないうえに、建築物の多くは特定箇所に密集して立地しているので、開発地の間には広大な緑地が残され、その一部が自然公園として保全・利用されている。世界最先端の超過密都市の中に散在する“緑の空白”の魅力を体感しよう。

 筆者は2009年度の1年間、シンガポールに住む幸運を享受した。昼はさまざまな国籍の人々と語らい、夕食後は毎晩10キロ少々ジョギングを重ね、島内中を文字通り「走破」した。しかし、「現地の人のリアルに、旅行者(や仕事漬けの日本人在住者)は気付かない」という点は、今でも変わらない。その典型例が「ビル街のすぐ近くに大自然」というリアルだ。

 10年に帰国した後も、年に1~2回、シンガポール再訪の機会を作って定点観測を続けている筆者だが、短い滞在の間には、なかなか自然公園地区にまで足を延ばす時間の余裕がない。2~3泊で観光旅行に出向く多くの方も同じだろう。だがそんな忙しい方でも最も立ち寄りやすい自然公園が「シンガポール植物園」だ。

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外114カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。