熊野英生の「けいざい新発見」 フォロー

増税還元「キャッシュレスと軽減税率」得をする人は?

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
キャッシュレス決済でポイント還元のポスター=東京都台東区で、長谷川直亮撮影
キャッシュレス決済でポイント還元のポスター=東京都台東区で、長谷川直亮撮影

 消費税率が10月1日に上がった。食品(外食と酒を除く)と新聞には軽減税率の適用、キャッシュレス決済にはポイント還元など、さまざまな負担軽減措置がなされた。ただ、恩恵を受ける人と受けない人のギャップはかなり大きいことがわかる。

所得が高い人ほどクレジットカードを使う?

 筆者は、増税とともにスタートしたキャッシュレス決済の恩恵は1世帯当たり2000円(9カ月分、正確には2035円)と試算した。この数字は、総務省統計を使い、単身世帯を含めた総世帯平均の1世帯の支出額から割り出した。つまり、クレジットカードや電子マネーを全く使わない世帯、あるいは地域によってキャッシュレス決済のためのインフラがほとんどない所に住む世帯を含み、平均値として算出した。

 これを見せると、「小さすぎる」という指摘を受けた。理由は「クレジットカードなどでもっと多額の支出をしているから」ということだった。

この記事は有料記事です。

残り1481文字(全文1870文字)

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。