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「父の会社を残せるか」優良中小企業2代目社長の悩み

広田龍介・税理士
 
 

 東京都内在住のIさん(58)は中小企業の2代目社長だ。父親(87)が創立した製造販売会社を引き継ぎ、業績を順調に伸ばしてきた。ただ、父親は自社株の大部分を所有しており、現在も会長として毎日出社している。父親にはいまだに頭が上がらない。

国税から指摘された「公私混同」

 Iさんの目下の悩みは、自社株の評価額が相当高くなっていることだ。

 非上場会社の株式の評価額は、国税庁の通達に基づき、純資産額や類似業種との比較などで決まる。経営状況が良ければ、おのずと評価額は高くなり、その結果、父親の相続財産を押し上げている。相続財産に占める自社株の評価額は8割以上。父親に万一のことがあれば、相続税の負担は大きい。

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。