藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」

地球最南端の市・南米「ウシュアイア」は観光客だらけ

藻谷浩介・地域エコノミスト
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地球最南端の市・ウシュアイアにも一瞬の夏が訪れた(写真は筆者撮影)
地球最南端の市・ウシュアイアにも一瞬の夏が訪れた(写真は筆者撮影)

 きっかけは、ガイドブックにあった小さな白黒写真だった。見たことも考えたこともないような奇抜な仮装をした人物が写っている。南米大陸の南に位置するフエゴ島の、今は消えてしまった原住民の祝祭の扮装(ふんそう)だと読んで、どうしても行ってみたいと思った。世界の果てに、まったく違う感性、発想を持った人類がいたということを、その地に足を降ろして感じ取ってみたかったのだ。日本から乗り継ぎ乗り継ぎ33時間、たどり着いた先にあった世界とは?

 2018年1月。成田空港から全日空のメキシコシティー行きで12時間。南米2大航空会社の一つ、ラタム航空のサンティアゴ(チリ)行きで8時間。ブエノスアイレス(アルゼンチン)行きで2時間。アルゼンチンに入国してからさらに国内線で3時間半。乗り換え時間も入れて33時間かけてたどり着いた先が、南米大陸の南に浮かぶフエゴ島の南岸、“地球最南端の市“ウシュアイアだ。ビーグル海峡に面した人口7万人の都市である。

 降り立った空港は、ウシュアイア・マルビナス・アルゼンティーナス空港。「マルビナス(英語名フォークランド諸島)はアルゼンチン領土だ」という主張を、そのまま名前にしている。フエゴ島から東に500キロほどの海上にあって、1833年以来英国が占領しているこの島々に、アルゼンチンの軍事政権(当時)が侵攻したのは1982年。2カ月間の激戦を経て英国が死守したが、アルゼンチン政府は今も領有権を主張し続けている…

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藻谷浩介

地域エコノミスト

1964年山口県生まれ。平成大合併前の約3200市町村のすべて、海外109カ国を私費で訪問し、地域特性を多面的に把握する。2000年ごろから地域振興や人口問題に関して精力的に研究、執筆、講演を行う。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」ほか多数。国内の鉄道(鉄軌道)全線を完乗した鉄道マニアでもある。