熊野英生の「けいざい新発見」

東京五輪後も日本経済は「緩やかに拡大」は本当か

熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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東京五輪後の日本経済は……(陸上競技のトラックの工事が進む新国立競技場、2019年9月25日、本社ヘリから丸山博撮影)
東京五輪後の日本経済は……(陸上競技のトラックの工事が進む新国立競技場、2019年9月25日、本社ヘリから丸山博撮影)

 目先の景気動向は、消費税率引き上げがどれくらい影響を及ぼすかが焦点になっている。それはそれで大切な要素だが、その後の2020年に入ってからの景気は順調に拡大していくのだろうか。

 そこで、同業他社の19年、20年の経済リポートをいくつかピックアップして、その予測シナリオを点検してみた。すると、ほぼ共通した特徴は(1)日本の輸出は20年前半に再拡大する、(2)東京五輪後の20年10~12月以降もほぼ反動減なく、緩やかに成長する--というシナリオだった。

 米中貿易交渉は、10月10~11日の閣僚級協議では決裂しなかった。これで短期的には、もう一段の米中貿易の悪化は回避できそうだと考えることはできる。問題はその先で、中国の技術移転の強要と産業補助金の問題は積み残された。再び、火種になる場面がいつ来てもおかしくない。

 そこで、世界経済が今後どうなるかについては、トランプ米大統領の思惑を読む方に移っていく。20年秋の大統領選挙を前に、トランプ大統領は何としても貿易交渉の成果を得たい。交渉相手の中国もそれを熟知していて、20年前半の早いタイミングで決着させることを念頭に置いている。

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熊野英生

第一生命経済研究所 首席エコノミスト

1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。90年、日本銀行入行。調査統計局などを経て、2000年、第一生命経済研究所入社。11年4月から現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。