嫉妬をとめられない人

妻の生活をいちいち詮索する“悲しき定年後男性”

片田珠美・精神科医
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 仕事一筋、会社一筋に生きてきた男性が、定年後にすっかり気が抜けたようになることは珍しくない。なかには、唯一所属していた会社に行かなくなると、家でとくにすることもなく、友人も少なく、家事もできず、趣味もなく、ただ妻にすがって生きていかざるを得ないという人もいる。

 そういう人はちまたで「ワシも族」と呼ばれているそうだ。妻が出かけようとすると「ワシも」「ワシも」と、妻の後をついてまわるからだという。そうなると、定年前は見向きもしなかったくせに、家庭の中の些細なことに口出しするようになる男性も多いのだという。

 食事の献立や妻の買い物にうるさく口を出し、安い発泡酒を買えば「晩酌しか楽しみがないのに」とすねる。…

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片田珠美

精神科医

 広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。精神科医として臨床に携わり、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から研究している。「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)、「高学歴モンスター」(小学館新書)など著書多数。